福島第一原子力発電所事故に係る賠償についての要望書について
2月21日、帰町までの十分な賠償と、財物賠償の迅速な対応を求め、渡辺町長、千葉町議会議長が東京電力株式会社本社を訪れ、西澤社長に要望書を手渡しました。
以降要望書原文
東京電力株式会社
取締役社長 西澤 俊夫 様
福島第一原子力発電所事故に係る賠償についての要望書
大熊町と東京電力福島第一原子力発電所は建設計画以来、約半世紀にわたり共生してきたが、今回の事故によって大熊町の住民、大地は甚大な被害を受け、まもなく1年が経過しようとしている。
避難を続けている我々大熊町民は「生まれ育った町を廃墟にしてはならない、全員で一日も早く戻る」という強い意志のもと、慣れない避難生活に耐えながら、町民一体となって復興に取り組んでいる。
町民の積み重なる郷土への想いの一方で、それ以上に不安と苦痛が日ごとに増している。
ついては、福島第一原子力発電所事故の早期収束を求めるとともに、町民の不安と苦痛を解消するために次の対応を強く要望する。
- 現在、政府で検討している避難区域の見直しで大熊町は「長期帰還困難区域」とされる可能性が高い。ついては帰町するまでの期間、責任をもって十分な賠償をすること。
- 先日から一部自動車に対する賠償を開始しているが、十分な対応とは言えない。またその他財物賠償も迅速な対応を求めるとともに、町民が先の生活を見通すに十分納得できる手当てをすること。
平成24年2月21日
大熊町長 渡辺 利綱
大熊町議会議長 千葉 幸生
具体的要望内容
1.精神的賠償の増額について
精神的賠償について、『平成23年3月11日から平成24年2月29日まで1人あたり月10万円』となっているが、未定となっている平成24年3月1日以降について、当初考えられていた『平成23年9月1日から平成24年2月29日まで1人あたり月5万円』というように時間の経過とともに減額するのではなく、むしろ日増しに精神的苦痛は増大していることから現状からの上乗せを求める。
2.財物(建物、土地)の再建可能な賠償について
財物の賠償における『建物』の賠償については、単純に購入価格から経過年数分を減額した金額にするのではなく、再築に可能な金額の賠償を求める。金額の算出方法として、一例としては「公共用地の取得に伴う損失補償基準(中央用地対策連絡協議会)」による『建物の現在価値+運用益損失額+取り壊し工事費用-発生材価額』が考えられる。 また『土地』の賠償については、平成23年1月1日基準日とする土地公示価格や公的建造物用地に関する面的買収基準など町民が納得できる対応を求める。
3.自動車賠償の早期対応について
自動車の賠償について、今回対象外となった特殊車両や一時帰宅等で警戒区域から持ち出したものの、除染しても線量が落ちず売却できない自動車などについても早期に対応を行うことを求める。