根本復興大臣に要望書を手渡しました
2月16日、福島県2区選出の根本匠復興大臣が大熊町役場会津若松出張所を訪れ、渡辺町長と会談をしました。
会談の中で渡辺町長は、帰還に必要な基準の設定など4項目について要望書を提出しました。
根本大臣からは「ふるさと希望復活事業、コミュニティ復活交付金など新たな予算を活用し、スクラムを組んで一日も早い帰還、復興に全力をあげて取り組む」との話がありました。
町では今後も、賠償、除染などの重要かつ喫緊の課題に関して、国(政府)および東京電力株式会社の検討・決定に厳格に応対し、必要に応じて迅速な申し入れを行っていきます。
なお、今回の要望内容は以下のとおりです。
以降要望書原文
復興大臣
根本 匠 様
原子力災害の収束および復興支援に対する緊急要望書
今般の東日本大震災に起因する福島第一原子力発電所事故により、町機能を含め全町民が県内外に集団避難を余儀なくされる事態となり、原子力発電所の安全確保に一元的責任を有する国を信頼してきた大熊町としては、大変強い衝撃を受けております。
さらに、約2年を経過しても、事故の確固たる収束目処は立っておらず、むしろ放射線による土壌汚染や家屋の荒廃等の厳しい現状が明らかになってきております。
このような状況のなか、大熊町では、「生まれ育った町を廃墟の町にしてはならない」、「大熊町へ全員で一日でも早く戻る」という強い意志のもと、町民と一体となって復興へ向けた取り組みを行っているところであります。
しかしながら、帰還に必要な線量基準についての国民的合意や、区域ごとの線量推移が明らかにならず、さらには長期化する避難生活に対応した住宅整備やコミュニティの全体像が示されない中で、町民の多くは将来に対する不安を隠しきれずにおります。
つきましては、かかる状況を十二分にご賢察いただき、本町の復興・再生に取り組んでいただきますよう下記のとおり要望いたします。
記
- 帰還に必要な基準の設定について
- 住民や農業従事者が安心して帰還できるよう、生活環境、健康、食品等に係る線量の基準について、客観的、科学的な根拠に基づく国民の合意形成を図ること
- 帰還の時期が具体的に判断できるよう、除染技術の向上による効果を含めた区域ごとの線量推移を早期に示すこと。
- 中間貯蔵施設および最終処分場の確保、原子力発電所事故の完全な収束と廃炉に向けた中長期ロードマップを国の責任において確実に実施し、住民の不安や疑問の解消に努めること。
- 大熊町の復興計画について
- 帰還に向けた除染、インフラ整備の工程表等を示し、避難解除等区域復興再生計画で未策定となっている大熊町の計画を速やかに策定すること。
- 町外コミュニティについては、被災者全体の課題であり、受け入れ自治体や双葉郡内外の一体的な調整を行い、被災地域全体のための拠点にするとともに必要な財源措置を確実に講じること。
- 長期化する避難生活、町に戻らない選択をする町民を考慮し、長期の居住、永住が可能な戸建住居を整備するとともに、雇用に考慮したコミュニティを整備すること。
- 復興庁において、各省庁に対する強い権限を持って、被災地の復興政策を実質的にリードできる体制とすること。また、県や各市町村の意向をくみ取り、一体的な復興政策を主体的に示すこと。
- 大熊町民が震災以前の生活水準に戻れるまで、長期継続的かつきめ細やかな復興支援を実行すること。
平成25年2月16日
大熊町長 渡辺 利綱