町商業施設おおくまーとの軽食喫茶レインボーで5月31日、バーイベントが開かれました。バーテンダーとしてオリジナルカクテル等を提供したのは、東京から移住してきた近藤佳穂さん。移住前のスキルを生かし、町内で活動する近藤さんから話を伺いました。
大熊町に昨年移住してきた近藤佳穂さん。移住前は東京都に住み、横浜市のホテルで働いていました。結婚後、町内で働くご主人とは別々に暮らしていたため、町へは移住前から何度も通っていたそうです。
「東京から通っている最中、実際に住んだらどういう感じなのか想像しながら来ていたので、大熊町で生活するイメージができていた。結婚から1年過ぎたころ、そろそろ別居をやめようと思い立ち、エイッと引っ越してきました」と近藤さん。
「住み始めてみたら、ものすごく楽しい。気の合う人たちと集まったり、誘い合ったり、応援してくれる人たちがたくさんいる。そういう環境に身を置いたことが今までなかった。東京では、誰が何をしているのかわからないことが当たり前だけど、こっちでは大体わかる。それを私はプラスに捉えていて、距離が近くて顔が見える付き合いが楽しい」と笑顔で話しました。
近藤さんは移住後、フリーバーテンダーとして活動しています。昨年、町内で開かれたマルシェイベント「ふらっとクマプレ」でもバーテンダーとしてドリンクを提供していました。
「ホテルで働いていた時、レストラン部門ではフレンチが一番長く、最後はバー勤務でした。移住後、在宅勤務のアルバイトに応募したところ、経歴を知った担当者がイベントでバーテンダーをやってみないかと声をかけてくれた」とバーテンダーを始めるきっかけを話してくれました。続けて「そのイベントで『大熊に住んでいます、バーテンダーです』と公言していたのに、町内の飲食店にあいさつしていないと気付きました。そこで『おおくまーと』に行って『飲食業の経験があるので、お手伝いできることがあれば仰ってください』と各店にあいさつしたら、レインボーのマスターに『じゃあ、明日から来て』と言ってもらえたのでアルバイトを始めました」と振り返ります。
ある日、友人がレインボーで開いた交流会で、近藤さんはバーテンダーのサービスを披露しました。よろこんだ友人がレインボーのマスター・武内一司さんにバーイベントの開催を熱望したところ、武内さんが快諾。近藤さんがバーテンダーとして腕を振るうことになりました。
当日、バーの準備をしながら「この辺りに住んでいる方々の交流する場にしたい」と話す近藤さん。
「やっぱり社交場になるのは居酒屋やバーなどのお酒が出るところ。そこで町民や町に関わる皆さんに楽しんでもらいたい。大熊のように店の少ないところで、足りないものの穴埋めができればいいな」と思いを語りました。
午後6時、イベントが始まると次々に客が訪れ、すぐに店内外のテーブルは多くの客でにぎわいました。
次々に注文が入るレインボーの店内
にぎわいを見せる店の前の飲食スペース
この日、一番多く注文されたメニューは、近藤さんのオリジナルカクテル「ザ・モーヴ」。
オリジナルカクテル「ザ・モーヴ」
名前の由来を尋ねると、バーテンダーを始める際、店を出すとしたら店名をどうするか考えたそうです。そして名前に「藤」の文字が入っていることと、フレンチの経験が長かったことから、フランス語で藤色を表す「Bar mauve（バーモーヴ）」という店名に決まりました。その店名をアピールするため考案されたのが、同じ名前の紫色のカクテル。色はスミレの花を使ったバイオレットシロップによるものです。「スミレを使っているのは花が好きだから」と近藤さん。この日のメニューにもラベンダーやエルダーフラワーなどの花のシロップが使われたドリンクが揃えられていました。
多彩なカクテルを提供する近藤さん
近藤さんの働きぶりを見た武内さんは「夜の営業をやってくれるのはいいことだ。夜になると町内に人けがなくなるのは、店の明かりが消えてしまうからではないか。明かりはついていた方がいい。若い人がどんどんチャレンジして町を盛り上げてほしい」と近藤さんを応援します。
カウンターに立つ武内さんと近藤さん
バーの営業時間中は、客足が途切れず、店内外に楽しそうな話し声が絶えませんでした。店の明かりに照らされる多くの笑顔。来店した方の一言、「今ここが大熊で一番人口密度が高い場所」という言葉がイベントの成功を物語っていました。
営業終了後、近藤さんは「こんなにたくさんの人が来てくれるとは思わなかった。友人たちも駆けつけてくれてうれしい」と感想を語りました。「今回、偶然居合わせた方同士が仲良くなるところを見れた。初対面の方や顔だけ知っていた方たちが気軽に交流できる場にするのが理想。次があるなら、より楽しんでもらえるようにがんばり、移住した方や元々住んでいた方、町内で働いている方など、幅広い方に来てもらえるようにしたい」と意気込みました。
後日、レインボーでは月1回、バータイムの営業を行うことになりました。今後も夜の大熊に集う人々の姿や、シェイカーを振る近藤さんの活躍が見られそうです。
バータイム
毎月最終週の水曜日 午後6時～9時
通常営業
月曜日～金曜日の午前11時～午後6時
第2・第4土日の午前11時～午後2時
お問い合わせ先
電話番号:080-2835-2819
