「令和5年度町立学び舎ゆめの森始まりの式」が4月10日、交流施設linkる大熊で行われ、園児8人、児童生徒18人が式に臨みました。
記念撮影に収まる式の参加者ら
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故後、町内の教育機関は避難先の会津若松市で再開しました。令和4年3月に、熊町・大野小、大熊中の3校が閉校し、同年4月、義務教育学校学び舎ゆめの森が開校。また、熊町・大野幼稚園は今年3月で閉園し、この4月、認定こども園学び舎ゆめの森が開園しました。
学校は変わりましたが、町の教育機関が町内へ戻るのは約12年ぶりです。そのため、式は認定こども園の入園式と義務教育学校の入学式、始業式、町内での園・学校の再開式が併せて行われました。式には、子どもたちや保護者、来賓、町関係者のほか、地域の方々が参加し、約160人が子どもたちの晴れ姿と町内での学びの再開を祝いました。
式に先立ち、会場前の広場で「みんなでお出迎えセレモニー」が開かれました。町民ら約200人が会場までの通り道に並び、拍手をしたり、手旗を振ったりして子どもたちを歓迎。出迎えを受けた子どもたちは緊張しながらも笑顔で応えながら会場までの花道を歩みました。
町民らが花道をつくり、子どもたちを出迎えました
式でも出席者からの大きな拍手に包まれながら入場した子どもたちは、名前を呼ばれると元気に返事をして立ち上がりました。
保護者に連れられ入場する園児
呼名されて立ち上がった新入学生の4人
吉田淳町長は「町の新たな教育のステージの始まり。子どもたち一人ひとりが輝ける学校づくりに取り組む」、 南郷市兵校長は「帰還した町で、互いの自由を認め合い、伸ばし合う、最も優しい社会を創り出したい」とあいさつ。教育委員会告示では、佐藤由弘町教育長が「皆さんおかえりなさい。自らの好奇心を大切にして学びを深め、自分なりの夢の花を咲かせてください」と述べました。
その後、児童生徒を代表して9年生の石井埜乃佳さんが「皆さんに立派な大熊っ子に育っていく姿を見せられるよう、誇りを持って自分の未来を切り開く」と誓いの言葉を述べました。
また、校歌「学び舎ゆめの森のうた」を歌う場面では、3月まで会津若松市内の校舎に通っており、校歌を知る児童生徒らが前に出て、新たに入園・入学、転入した仲間に披露しました。
校歌を披露する児童生徒ら(奥)
こうして学び舎ゆめの森に新しい仲間を迎え、町内での学びが再開しました。当初は大川原地区に新たに整備する教育施設での再開を見込んでいましたが、新施設は資材不足の影響で完成が遅れ、2学期から利用される予定です。1学期は、町役場や交流施設、住民福祉センターなどの既存施設を利用して教育や保育が行われます。
3月まで同校の校長を務め、4月から町教育長に就いた佐藤教育長は「地域の皆さんに見守られながら学ぶことや目の前で新校舎ができていくことを貴重な経験として、子どもたちのプラスにできるような教育環境をつくる」と意気込みを語りました。