町出身でスプリントコーチの秋本真吾さんは1月22日、町民が設立した「わたなべランニングクラブ」で特別指導を行いました。
クラブに所属する子ども15人が参加し、元プロ陸上選手の秋本さんから指導を受けながら本格的な練習に取り組みました。
クラブの代表は、郡山市に避難している渡辺隆弘さん。ふくしま駅伝の町チームで監督を務める渡辺さんは、子どもたちに走る楽しさを伝えたいとクラブを設立。職場や知り合いに声をかけて運動が好きな子どもたちを集め、週3回、郡山市や須賀川市で練習会を開いています。
震災前から陸上競技を通じて親交がある2人。渡辺さんはクラブ設立後、秋本さんの指導を子どもたちに受けさせたいと話していました。秋本さんは現在、プロスポーツ選手の指導のほか、いわきFC所属のスプリントコーチとして活躍しています。千葉県在住ですが、いわきFCとのつながりで福島県内へ来る機会が増えたという秋本さんは、県内で子どもたちの育成に奮闘する渡辺さんからの依頼を快諾しました。
参加者は、秋本さんから走るときの姿勢や腕の振り方、足の着き方などのポイントごとに説明を受けて実践。走るところを撮影した動画でフォームをチェックしたり、ミニハードルやマーカーコーンを使って歩幅を確かめたりして、正しく・速く走る方法を教わりました。
マーカーを使って走り方を教える秋本さん(左)
秋本さん(右)の指導を受ける参加者
動画を確認する秋本さん(右)と参加者
秋本さんは「今回教えたことを意識して練習してほしい。正しい走り方や練習方法を知っていることが大きな成長につながる」と参加者にエールを贈りました。
特別指導に参加した皆さん
2人に共通する町の思い出は「おおくま駅伝」。震災前、24回開かれた大会には町内外から数多くのチームが参加。秋本さんも震災直前の平成23年2月の大会にゲストランナーとして参加していました。
「町内でおおくま駅伝を急に復活させることは難しいが、他のランニングクラブにも声をかけ、有志で何かやりたい」と渡辺さん。子どもたちに町や震災のことを教えながら、ふるさとで走る楽しさを伝えたいと考え、今年の夏に町内で合宿と駅伝大会を企画していると話しました。
「現役の時、大熊の皆さんに応援してもらったので、震災後は町の支援を続けている。今後は町のスポーツに関するサポートもしたい。渡辺さんが駅伝大会を開くときは必ず駆けつけます」と秋本さん。笑顔で話す2人から「ふるさとを走りで盛り上げたい」という気持ちがあふれ出ていました。
秋本さん(右)と駅伝の話をする渡辺さん(左)