東京電力福島第一原発で発生するALPS処理水の海洋放出を巡り、内堀雅雄県知事と吉田淳町長、伊沢史朗双葉町長は8月2日、処理水希釈放出設備を新設する東京電力の計画を了解しました。同日、3氏は面会した東京電力の小早川智明社長に回答書を手渡し、要求事項の確実な実施や管理体制の徹底などを求めました。
小早川社長(右)に回答書を手渡す吉田町長
第一原発では、建屋内に地下水や雨水が流れ込み、放射性物質を含んだ汚染水が発生しています。この汚染水は多核種除去設備(ALPS)で浄化処理されますが、設備では放射性トリチウムを除去できないため、原発敷地内のタンクに処理水が保管されています。
令和3年4月、政府は増え続ける処理水が廃炉作業の妨げとならないよう、処分についての基本方針を決定しました。この方針を踏まえ、東京電力は「処理水を海水で希釈して、沖合約1kmで放出するための設備を新設する計画」を作成し、同年12月に廃炉の安全確保協定に基づく「事前了解願い」を県と原発立地2町へ提出しました。県原発安全確保技術検討会が、この計画の安全性の検討を行い、新設される設備について技術的に安全が確保されていることを確認。検討会の報告を受けて、3氏は設備の着工を了解しました。今回の事前了解は、海洋への放出を認めたものではありません。引き続き、国と東京電力に対し、国民・国際社会の理解醸成や風評対策に全力を尽くすように求めていきます。
内堀雅雄県知事と吉田淳町長、伊沢史朗双葉町長は8月3日、経済産業省で萩生田光一経産相と会談し、東京電力福島第一原発のALPS処理水の取り扱いについて政府一丸となって万全な対策を徹底的に講じ、最後まで責任を全うするよう要望しました。
萩生田大臣(右)に要望する3氏