町立熊町小・大野小と大熊中で9月27日から10月1日まで未来デザインウィークが開かれました。
各分野のプロフェッショナルを特別講師として招き、体験学習を通して探究心を育てることで、児童生徒自身の未来を描く力を高める取り組みです。例年実施していた学習発表会や柏陽祭に代えて開催されました。
児童生徒は各学習で特別講師らの話を真剣に聞いて意欲的に参加し、創造的な音楽や芸術を体験しました。
初日のオープニングセレモニーでは、児童生徒がくす玉を割って開幕を宣言しました。作家のよしもとみかさん、江藤純さんによる絵本「きぼうのとり」の朗読が行われ、児童生徒は震災と原発事故の経験を伝える物語に聞き入りました。
また、昭和20(1954)年に広島県で被爆したピアノのコンサートも行われました。児童生徒はピアノを修理した調律師の矢川光則さんからピアノがたどった経過と戦争の怖さを教わりました。作曲家の谷川賢作さんによる演奏や児童生徒と先生による「きらきら星」の連弾なども行われ、平和を伝えるピアノの音色が会場に響きました。
よしもとさんは「避難が続いているが困難をバネに羽ばたいてほしい」、江藤さんは「だれかに希望を与えられる存在になってほしい」、矢川さんは「被爆ピアノをきっかけに戦争を忘れず平和について考えてほしい」と児童生徒にエールを贈りました。
被爆ピアノの伴奏で合唱する児童生徒
来年度開校の義務教育学校「学び舎ゆめの森」の校歌を作曲する谷川賢作さんによる音楽ワークショップが開かれました。谷川さんは曲をジャズや演歌風にアレンジして歌いながらピアノの演奏を披露しました。また、児童生徒が「会津」や「おでん」をテーマに作詞すると、谷川さんは出来上がった詞に曲を付けて即興で歌いました。
谷川さんは「音楽は自由だと知ってほしい。どちらかに決めつけなくてもよいと伝えられたらうれしい」と話しました。
谷川さんの演奏に合わせて手拍子でリズムをとる児童生徒
昨年度から児童生徒と本づくりに取り組んでいる彫刻家の蟹江杏さんによる美術ワークショップが開かれました。児童生徒が挑戦したのは似顔絵の版画制作。蟹江さんは、児童生徒がこれまでにお世話になった谷川賢作さんと太郎庵社長の目黒徳幸さんの顔を自分の記憶と印象で描くように提案しました。
児童生徒は、下絵を描いたプラスチック板にニードルで溝を彫って原版をつくると、プレス機でインクを紙に印刷して版画を完成させました。
蟹江杏さんは「自分の中の印象と主観を大切にしてほしい。頭の中のイメージや気持ちを自由に表現できるようになってくれたらうれしい。今年度も児童生徒と本をつくる予定だが、今回の生き生きと取り組む姿を見て安心した。次の本づくりが楽しみ」と話しました。
作り方を説明する蟹江さん(右)
吉本興業の福島県住みます芸人・ぺんぎんナッツとボヨンボヨンによる笑いの教室が開かれました。2組はそれぞれ漫才を披露して会場を沸かせ、児童生徒に笑いの力を伝えました。児童生徒も参加し、芸人と即席のコンビを組んでネタを披露したり、ヨーヨーを使った芸に挑戦したりすると、会場が笑い声であふれ、観客から大きな拍手が送られました。
ヨーヨーに挑戦する児童
児童生徒は各学習の後に内容を振り返る学習を行い、ワークショップなどで得た気付きや感動をまとめました。また、期間中は教職員の研修会も開かれ、町の教育が目指す未来についての講演や意見交換などが行われました。
最終日のクロージングセレモニーでは、児童生徒と教職員の感想発表後に、各学習の様子を収めた映像が上映され、期間中の取り組みを振り返りました。最後は児童生徒の「明日から自分たちの未来をデザインしよう」という掛け声と大きな拍手で締めくくられ、児童生徒の探究心と創造力を育てた未来デザインウィークが閉幕しました。