熊川区の猪狩松一さんが古里のジオラマを制作しました。熊川区は東日本大震災の津波で家々が流され、中間貯蔵施設の用地にもなった地域。元の風景が失われることを寂しがる住民がいる中で「かつての古里を何らかの形で残したい」と、初めて挑戦したジオラマ作品です。
長年、塗装の仕事に携わり、絵画が趣味という猪狩さん。それでも立体的な模型を作った経験はなく、動画投稿サイトなどを参考にしたそうです。土台には紙粘土、色付けには水彩絵の具、家屋には割りばしを使いました。町役場から取り寄せた地図と自分の記憶が頼りでしたが、家の位置や屋根の色などは住民に直接尋ねたこともあったそうです。
熊川や馬の背岬も再現した力作は数か月がかりで完成。制作の間はふと古里に戻ったような感覚を味わい、改めて愛着が湧いたそうです。「よかったら見に来て、足りないところを教えてください」と猪狩さん。いわき市の自宅に気軽に足を運んでと呼びかけています。
ジオラマを完成させた猪狩さん