『墓地、埋葬等に関する法律』において墓地の経営(設置)は、永続的管理と公益性が求められるため市町村などの地方公共団体によることが望ましいとされ、福島県でも同様の取り扱いをしています。
福島県では墓地の許可等事務取扱要領に基づき、墓地の経営主体、墓地経営許可等の取扱いおよび無許可墳墓等の取扱いを明確にすることにより、今後の福島県内の墓地行政の円滑化を図ることを目的として事務を進めています。
当町は、平成23年3月11日に発生した東日本大震災および福島第一原子力発電所事故に伴い全町民が避難しており、現在は帰還困難区域、居住制限区域および避難指示解除準備区域という3つの区域に再編されています。そのうち、帰還困難区域内の墳墓使用者は、区域内への立入に許可が必要なため、お盆、お彼岸および命日等に自由に墓参ができない状況となっています。併せて、転勤や結婚等の理由で町外へ転出された方々の墓参の手続きも煩雑であり、ご不便をおかけしている状況でもあります。
また、当町は、福島第一原子力発電所を中心に広範に渡って除染廃棄物の中間貯蔵施設の建設が進められており、環境省では土地所有者への建設用地確保のための交渉や町内外からの除染廃棄物の受入作業が進められています。そのため、今後の建設作業の進捗に伴い、建設地域内にある墓地は移転が必要になることから、避難先への改葬の増加が予想されます。
当町には公営墓地が33か所で墳墓数が約2,167基あります。この公営墓地を空間線量率が高く墓地の移転が必要と考えられる「高線量率エリア」と中間貯蔵施設の建設に伴い移動が必要と考えられる「中間貯蔵施設建設エリア」等に分類すると、中間貯蔵施設建設エリアには11か所で433基、高線量率エリアには3か所で167基、そして、避難指示解除準備区域および居住制限区域には5か所で184基あります。
このような状況の中、当町の墓地に関する特異な問題を解決するために、地域の特殊性に応じた、新たな公営墓地の新設が求められています。
本計画では、当町における墓地問題に早急に対応するため、大熊町第二次復興計画の重点施策に従い町内墓地の整備に関する基本方針を定め、『墓地、埋葬等に関する法律』に基づく、墓地の経営(設置)許可などに関する事務を行うための指針とすることを目的とします。