あけましておめでとうございます。去る11月に大熊町長の大役を引き継ぎ、微力ながら、町政運営に携わることとなりました。託されたバトンの重みに身の引き締まる思いですが、「愚直に、柔軟に、そして住民を守る」の信条を胸に、一日一日を全身全霊で取り組んでいく所存です。
「帰町元年」と位置付けた昨年は当町にとって転機の一年でした。常磐自動車道大熊インターチェンジの開通、大川原地区と中屋敷地区の避難指示解除、町役場新庁舎の開庁、災害公営住宅の入居開始、いちご栽培施設の稼働など、町復興を実感する出来事が相次ぎました。一方で日本列島を襲った台風や大雨は、自然災害に対する備えの重要性を再認識させられる出来事でした。
今年、町内は一段と復興を実感する年になります。3月にJR常磐線が全線再開となり、大野駅にも9年ぶりに列車が戻ってきます。これに合わせ、駅周辺と県立大野病院敷地などが町内の帰還困難区域では初めて避難指示が解除されます。さらに下野上・野上の一部の立ち入り規制が緩和され、日中の立ち入りが自由化されます。町内の人の流れは大きく変化することが予想されるため、流れに滞りを生じさせることがないよう、周辺の社会基盤整備をはじめ万全の準備をしてまいります。
昨年、町役場庁舎や災害公営住宅、再生賃貸住宅が整備された大川原地区復興拠点では、新たに認知症高齢者グループホームをはじめとする福祉施設が完成します。町内に住む方のための環境が、少しずつではありますが整いつつあります。商業施設や交流施設などの計画と合わせ、着実に事業を進めてまいります。
私は、町の課題は大きく二つあると考えております。一つは「人」です。現在「町民」と呼ばれる方は、3通りに分かれていると思っております。「戻りたい方」「戻らない方」そして「新たに町民となる方」です。町との関わり方はそれぞれ違いますが、町民を守り、そして町民と共に新しい古里大熊町が築かれていくよう導くことが町政の使命であると考えます。
もう一つの課題は「土地」です。大川原、特定復興再生拠点、そして、帰還困難区域の中で特定復興再生拠点区域に含めることができなかった「白地地区」。それぞれのエリアで何を進め、何を見直し、何を新たに検討するか。改訂版・第二次復興計画が目指す町の将来像を着実に実現すべく、取り組んでまいります。
五輪イヤーの今年、聖火リレーが町内にもやって来ます。こうした明るい話題で皆さまが多くの笑顔であふれ、健康に一年を過ごせることを願い、新年のごあいさつとさせていただきます。
大熊町長 吉田 淳