全町避難から間もなく8年になろうとしており、皆さまが安定した生活を送られ、明るく元気に過ごせる年でありますよう願っています。
町内では認定された特定復興再生拠点区域整備計画に基づき、該当区域の除染作業が進められています。事業を着実に進め、今回対象にならなかった地域も順次見通しが立つようにしていかなければなりません。常磐自動車道インターチェンジ整備事業は進んでおり、3月には開通式が予定されています。JR常磐線全線開通に合わせた大野駅改修も行われており、地域間のつながりある整備が進められていくことになります。
中屋敷・大川原地区では昨年4月から準備宿泊が開始されておりますが、大川原地区における復興拠点整備事業は順調に進ちょくしています。庁舎をはじめ、住宅、商業施設、その他の公益的施設が順次完成する予定となっており、町内全域の環境整備に向けた起点となることが期待されています。その周辺では植物栽培施設、公営墓地整備が進んでいます。同時に一昨年設立されたまちづくり公社が、除染後の土地等を有効に活用するための役割を担うほか、将来的には町振興に関わる各種事業を展開する核となります。
一方で全町避難は長期にわたり、将来的に避難指示が解除されても、それが一概には帰還に結びつかない状況になっています。しかし汚染されたふるさとを生活可能なまでに除染し、インフラ整備を進めていく中で、選択可能な環境を整えていかなければなりません。まずは放射線管理に万全を期した上で、立ち入りの自由度を従来よりもさらに高める必要があると考えます。
除染土壌等を管理する中間貯蔵施設は、用地契約が進み並行して施設整備も進行しています。ふるさとを失うという苦渋の判断をせざるを得なかった皆さまに思いを致さずにはいられません。この施設が町の復興に影響を与えることがないよう、引き続き注視してまいりますが、同時に町民としての、あるいは地域単位のつながりを今後も大切にしていきたいと思うところであります。
町民の皆さまの考え方は、人により、また置かれている立場によって異なり、どのような生活を選択するのかもさまざまではありますが、避難が続く中、高速道路無料措置や医療費の無償制度、生活や福祉に関する相談制度、コミュニティ事業等、各種の生活支援策が継続されるよう取り組んでまいります。
平成最後の年となりますが、新しい年号に入っても私たちは引き続き様々な課題に向き合っていかなければなりません。今後とも皆さまの安定した生活を願い、一体となって努力を重ねてまいりますので、変わらぬご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、皆さまのご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。
大熊町議会議長 鈴木 光一