新年あけましておめでとうございます。年頭にあたり議会を代表いたしまして謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
昨年は町内の一部地域で避難指示が解除され、帰町が始まってから2年目となりました。大川原復興拠点では住民福祉センターと認知症高齢者グループホームが完成し、町が定める「福祉の里構想」の実現に向けて大きな一歩を踏み出しました。また帰町者のための災害公営住宅の第2期分が新たに整備され入居が進んでいるほか、今年は生活に必要とされる商業施設や町民が利用できる交流施設等の公益施設が順次完成する予定であり、町内における生活環境の向上が期待されています。
帰還困難区域内の、特定復興再生拠点では令和4年春の避難指示解除に向け、国における除染作業が引き続き進められています。また東日本大震災以降は不通となっていたJR常磐線が3月14日に全線開通となり、9年ぶりに大野駅に列車が戻ってきました。全線開通に先駆け、3月5日にはJR大野駅周辺と県立大野病院の敷地などが避難指示解除となり、合わせて下野上・野上地区の一部で立入規制が緩和され、宿泊はできないものの通行証がなくても立ち入りが可能となりました。最近では避難指示解除の目標である令和4年の春に向け、住宅の修繕や再建などの動きも見られ、今後はインフラなど帰還のための環境整備が進むものと思われます。
産業の復興については、昨年から特定復興再生拠点区域内の下野上清水地区で水稲の試験栽培が始まるなど、避難指示解除後の営農再開を目指した取り組みが行われています。
夫沢長者原地区では不燃性産業廃棄物のリサイクル施設が竣工、供用開始するなど少しずつではありますが復興へ向けた歩みを進めています。
一方、未だ除染や避難指示の解除時期が示されない区域があること、廃炉作業がなかなか進展しないことが町の大きな問題となっています。この問題については国や関係機関に再三要望しておりますが、引き続き強く対応を求めてまいります。また、全町避難から10年という歳月によって皆さまを取り巻く状況も大きく変わりました。帰町や移住の判断、町との関わり方など様々な考えをお持ちの方もいらっしゃるとは存じますが、町民の思いを受け止め、皆さまが必要とされる支援策等が継続されるよう精一杯取り組んでまいります。
町議会としては、今後とも皆さまの安定した生活を実現すべく、様々な課題の解決に向け一丸となって努力を重ねてまいりますので、変わらぬご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。結びに、皆さまのご健勝とご多幸を衷心よりご祈念申し上げ新年のごあいさつとさせていただきます。
大熊町議会議長 吉岡 健太郎